こちらは、昨年12月8日に撮影した、東急田園都市線の宮崎台駅付近にある電車とバスの博物館で展示されている玉電のデハ200形204Fです。
デハ200形は、1955(S30)年に、玉電初の高性能、低床式の1軸連接車として、201~206Fの6編成が導入されていました。
車体は、同じ軽量高性能車で前年の1954(S29)年にデビューしていた旧5000系と同様の軽量モノコック車体で、前面2枚窓の丸みを帯びた卵形のスタイルから、「ペコちゃん」や「イモムシ」、1軸連接車のスペインのタルゴに因んだ「和製タルゴ」と呼ばれていました。
カルダン方式で連接台車の足回り品の採用も、玉電で初の試みとなったけど、特殊性があり、運用やメンテナンスの面で手間が掛かっていたこと、ドアの位置が異なっていることなどの理由により、1969(S44)年5月の玉川線の廃止をもって、世田谷線に継承されずに14年の短命で御役御免(廃車)となっていました。
こちらは、玉川線の支線(現在の世田谷線)にも乗り入れていたけど、玉川線の廃線同時に未だ走れる状態であったのにも関わらず、世田谷線に継承されずに廃車となったのが惜しまれます。このことは、保守等の問題によりやむを得なかったし。
世田谷線に継承された玉電系の車両は、デハ70,150形と、デハ80形の一部で、そのうちのデハ150形が、1964(S39)年に導入されていた玉電最後の新造車として、2001(H13)年2月10日まで活躍していました。
デハ150形で、吊り掛けモーターの連結車両に戻されていたのは、その為であり、70形や80形で行われていた足回り品の更新の対象から外されていたことにより、世田谷線で最後まで残された非冷房の吊り掛けモーター車となっていました。
1999(H11)年7月に登場した300系は、200形以来44年ぶりとなった低床連接車で、2005(H17)年11月に、301Fが、200形登場50周年記念としてこの200形がイメージされた塗装に変更されていました。
都電の1系統(品川駅前~上野駅前間)で活躍していたPCCカーこと、5500形も、1953(S28)年から1955(S30)年に7両製造された高性能型路面電車であったけど、玉電のデハ200形と同様に特殊性があり、長い車体により急カーブに対応していなかった為に1系統で限定運用されていたので、1967(S42)年12月9日の都電1系統の廃止により、他の系統に転用されることもなく、14年間の短命でお役御免となり、上野公園→荒川車庫を経て、荒川車庫前にある都電おもいで広場で静態保存されている5501号車を除いて解体されていたので、デハ200形の生涯に共通していました。
デハ200形の6編成のうち、204Fと206Fが静態保存され、他は、世田谷線に継承されなかった他形式の車両と共に全て解体されていました。
206Fは、千葉県野田市にある清水公園で静態保存されていたけど、荒廃により解体されていました。
この204Fは、廃車後に、多摩川園(多摩川駅前にあった遊園地)で保存され、1979(S54)年の多摩川園の閉園後に、高津駅高架下に移り、1989(H元)年のモハ510号車(旧3000系)の高津駅高架下での展示により、後に増設された電車とバスの博物館の3号館で休憩用車両として展示されるようになっていました。
2003(H15)年3月には、電車とバスの博物館が、東急田園都市線の二子玉川~溝の口間の複々線化工事による支障によって、高津から現在の宮崎台に移転され、この204Fも現在の場所で展示されるようになっています。高津時代と同様に車内には入ることが出来るし。
その展示スペースには、玉電池尻の駅名板が復元されています。
玉電池尻電停は、車庫のあった大橋電停の隣で、目黒区から世田谷区に入ったところにありました。
因みに田園都市線(旧、新玉川線)の池尻大橋駅は、世田谷区の池尻と目黒区の大橋の間に跨がっていることから名付けられており、玉電の玉電池尻と大橋電停が統合されて出来た駅となっています。
二子玉川園駅は、1985(S60)年まで駅前にあった二子玉川園に因んだ駅名となっていたけど、2000(H12)年8月6日の東急目蒲線の目黒線・東急多摩川線への分離、新玉川線から田園都市線への統合に合わせて、二子玉川園から二子玉川に変更されていました。多摩川園駅も多摩川駅に変わっていたし。
連結2人のりは、デハ70,80,150,200形で行われていた、前後に乗務員(通常の通勤電車と同様に前方に運転士さん、後方に車掌さん)が配置された、ワンマン運転を背中合わせにした状態であり、現在の300系の女性案内係(アテンダント)にもそのシステムが受け継がれています。
電車とバスの博物館は、高津にあった2002(H14)年9月1日までの間は、大人・子供共に10円で入ることが出来ました。
現在の宮崎台に移転されてからは、大人100円、子供(小中学生)50円と、ワンコインで入れることには変わりはないです。
このような玉電の車両が保存されるのは嬉しいと思っています。