
続いては、7月20日に箱根登山鉄道の箱根湯本駅で撮影した、みんな大好き展望席付きロマンスカーである、50000形VSE車の50002Fによる、はこね84号です。
はこね84号は、土休日のみ運転で、箱根湯本駅を15時37分に発車し、途中、小田原、秦野、本厚木、町田の各駅に停車してから新宿へと向かう列車で、展望席付き車両(50000形VSEまたは70000形GSE)が使われています。
平日の場合は、それに近い時刻として、箱根湯本 15時43分発のはこね28号(途中、小田原、秦野、本厚木、相模大野、新百合ヶ丘の各駅に停車)が運転されるけど、こちらはメトロホームウェイ号に繋がる運用なので、60000形MSEの6両編成(小田原から前4両が増結されて10両編成)に限定されています。
50000形VSEは、今から14年前の2005(平成17)年3月19日にデビューした、展望席付き、連接10両編成の白いロマンスカーであり、昨年3月17日に展望席付きロマンスカーの後輩に当たる70000形GSEがデビューした後も未だ人気が衰えていないです。
1996(平成8)年から1999(平成11)年に掛けて、通勤向けロマンスカーである30000形EXEが導入された時に、展望席付きロマンスカーの元祖であった3100形NSE車が置き換えられ、展望席付きロマンスカーが減少してしまったことで、ロマンスカー人気が低迷し、ロマンスカー利用による箱根への観光客が減少し、JRの湘南新宿ラインが出来てからは、更に苦戦を強いられるようになっていました。
そんな中、段差のあるハイデッカー方式が仇となっていたことによりバリアフリーに対応していなかった10000形HiSE車の置き換え用として50000形VSEが導入され、ロマンスカーの人気回復に拍車が掛かっていました。
VSEの導入により運用離脱された10021Fと10061Fは、連接11両編成から4両編成に短縮された上で長野電鉄(長野県)に譲渡され、1000系として展望席付き特急ゆけむり号として活躍しているので、長野での人気者となっています。
自分(しゃもじ)は、2007(平成19)年9月30日に湯田中から長野まで、長野電鉄のゆけむり号に乗ったことがあるけど、小田急時代と変わらない連接サウンドに魅了されていました。
9月30日は、れんてつの推しである軌条あさま氏の誕生日だけど、奇しくも旧あさま号の最終日でもあります。
50000形VSEのポイントは、ロマンスカーの伝導である前面展望席、連接台車、ミュージックホーン(ピーポー音)、走る喫茶室と同等のシートエントリーサービスの復活による原点回帰であり、そのうち、70000形GSEに受け継がれたのは、前面展望席とピーポー音であります。
70000形GSEで連接台車が廃止されて初のボギー車による前面展望席付き車両(かつて存在していた名古屋鉄道(名鉄)のパノラマカー(7000系)もどきの車両)となってしまったのは、主要駅に導入される予定のホームドアに対応出来ないことだけでなく、メンテナンスに手間が掛かること、2010(平成22)年1月に7000形LSEで一番最初に廃車解体された7002Fの解体作業中に台枠に亀裂が発見されていたことの影響もあると思います。
ホームドア導入により、50000形VSEの動向が気になると言われているけど、こちらもその動向を気にしています。
連接台車は、かつてJR東日本の京葉線で活躍していたE331系にも採用されていたことがありました。
E331系は、特殊性があり、故障が多発していたことで、2011(平成23)年1月に運用離脱され、2014(平成26)年3月に廃車となったので、たった4年間しか営業運転出来ず、製造されてから8年で廃車という短命となってしまいました。
昨年4月7日まで中央線特急で活躍していたE351系(初代スーパーあずさ)では、JR東日本で最初で最後となった振り子式台車が使われていたけど、メンテナンスに手間が掛かることにより、E257系やE353系に継承されなかったので、JR東日本が特殊な台車に合わない会社となったのであります。
ミュージックホーン(ピーポー音)は、初代3000形SE車や3100形NSEの時代から使われている伝統の音であり、当初は常時それを流しながら走っていたことがありました。
30000形EXEでは、通勤輸送に特化しすぎた車両であることにより、ピーポー音が廃止されたので、EXEがロマンスカーらしくないロマンスカーとなってしまった点でもあります。
50000形VSEでは、ピーポー音が復活し、到着や発車の時にそれが鳴ることで楽しませてくれている状態であり、それが60000形MSEや70000形GSEにも受け継がれています。
60000形MSEのピーポー音は、2008(平成20)年3月15日にデビューした当時は、地下鉄でも盛んにピーポー音を鳴らしてくれたけど、現在はMSEで鳴らしてくれる機会が減っています。
特急ふじさん号(Mt.Fuji)では、JR東海(御殿場線)でミュージックホーンの使用が禁止されているので、御殿場線では鳴らないことになっています。
ロマンスカーVSEのシートエントリーサービスは、1995(平成7)年まで森永エンゼルと三井農林(日東紅茶、1993(平成5)年3月に一足先に撤退)によって行われた走る喫茶室と同等の、女性販売員に座席まで届けてもらうサービスであり、2005年3月19日から2016(平成28)年3月25日までの間、小田急レストランシステムによって行われていました。
VSEのシートエントリーサービスで、専用のグラス入りだったプレミアムコーヒーを飲むのが楽しみとなっていたけど、それが廃止されて従来のロマンスカーの車内販売と同じワゴンサービスに切り替えられてからは、普通の紙コップ入りのコーヒーとなっているので、VSEに乗る楽しみが半減してしまいました。
折角復活した走る喫茶室と同等のシートエントリーサービスが廃止された理由は、途中停車駅の増加や振動による危険防止のほか、他のロマンスカーとの共通化もあります。
現在は、50000形VSE限定の運用がなく、一部を除いて70000形GSEと共通運用となっているので、シートエントリーサービスが廃止されたのもそのはずであります。
JR東日本の特急の車内販売では、7月からホットコーヒーの取り扱いが中止されたことで改悪状態となっているけど、小田急ロマンスカーの車内販売では、コーヒーや紅茶、ビール(酒類)などの飲みもの、お弁当、お菓子類などの品揃えが充実しています。
VSE独自として車体傾斜装置が取り付けられているけど、こちらはスピードアップではなく、乗り心地の向上の目的となっています。
50000形VSEは、これから箱根に行くわくわく感のある車両であり、70000形GSEにもそのわくわく感があります。
VSEの欠点は、定員が358席と少ない為に週末には満席となることが多いことであり、このことはVSE人気の影響もあります。
70000形GSEでは、400席とVSEよりも多いけど、456席だった7000形LSEよりも少ないです。
70000形GSEの導入により、2編成あった7000形LSEがそっくり置き換えられていたけど、複々線完成によるロマンスカーの増発や、30000形のEXEα化入場の影響により、ロマンスカーの車両不足が顕著となっています。
現在は、50000形VSEが1編成しか使われていない状態となっているけど、8月29日から9月10日まで70000形GSEが1編成のみ運用となり、9月5日にはGSEが全く走らない日になってしまいます。
8月20,30日、9月2,5日には、50000形VSEによる片瀬江ノ島乗り入れ(平日のホームウェイ81号→えのしま2号)に50000形VSEが使われる予定となっているので、VSEの片瀬江ノ島乗り入れが、久しぶりにニューイヤー号以外で見られることになります。
50001Fは、2004(平成16)年、50002Fは、2005年に日本車輌製造で製造されたものであり、2005年の中部国際空港(セントレア)の開港の時にデビューした名古屋鉄道(名鉄)の2000系(ミュースカイ、同じ日本車輌製造製)と同世代であります。
れんてつのみゅーすかい氏は、その名の通り、名鉄のミュースカイが由来となっています。
2006(平成18)年には、小田急50000形VSEがブルーリボン賞、名鉄2000系ミュースカイがローレル賞をそれぞれ受賞していたので、日本車輌製の同世代の車両同士の縁となったほか、50000形VSEがロマンスカーらしいロマンスカーの復活の切り札となっていたことが分かります。
2006年度のローレル賞受賞車は、名鉄2000系ミュースカイのほか、愛知高速交通(愛知県)の100形(リニモ)、広島電鉄(広島県)の5100形(Green mover max)、福岡市交通局の3000系(福岡市営地下鉄七隈線用)も挙げられているけど、リニモに関しては、愛知県の電車らしく同じ日本車輌製造で製造されていました。
小田急の車両のブルーリボン賞受賞は、今年5月に70000形GSEの受賞により、8回目(EXEを除いたロマンスカーシリーズの車両が受賞)となり、近畿日本鉄道(近鉄)の8回(こちらも全て50000系しまかぜ(伊勢志摩への豪華リゾート列車)を含めた特急型車両が受賞していた)と並ぶ記録となったのであります。
VSEのVは、ドーム型の天井を表すVaultが由来となっているけど、Victory(勝利)やValue(価値のある)の意味も込められていると思っています。
30000形EXEでは、ブルーリボン賞の受賞が見送られた代わりにグッドデザイン賞が受賞されていたので、50000形VSEを含めた全ての現役ロマンスカーがグッドデザイン賞受賞車となっています。
70000形GSEは、グッドデザイン賞よりも上であるグッドデザイン金賞を受賞していたけど、グッドデザイン賞受賞車としてカウントしています。
50000形VSEの50002Fは、2016年9月19,20日の箱根旅行の帰りに、箱根湯本から新宿まで乗った編成なので、当時のことを思い出しました。
VSEとGSEは、箱根湯本に似合っているので、7月20日に両方撮影することが出来たことで幸せを感じました。
あーにゃこと水湊あおひ氏は、7日から始まる舞台の稽古の真っ只中なので、次に会えるのは自分(しゃもじ)のアイドルとの触れ合いの発祥の地である池袋でのあーにゃが出てくる舞台となってしまいます。
このように、箱根湯本駅で50000形VSEを撮影することや、それを話題にすることが出来て良かったです。