こちらは、5月29日に行われた京急ファミリー鉄道フェスタの会場である京急ファインテック久里浜事業所の無架線地帯で展示されていた、京急旧1000形の1351号車です。
旧1000形は、1958(昭和33)年に製造された旧800形(初代700形→旧600形の通勤型バージョン)として2連2本の4両が試作され、翌年の1959(昭和34)年12月に量産車である旧1000形の4連4本16両が落成し、1960(昭和35)年1月に営業運転入りしていました。
旧800形と、これらの旧1000形の初期形(1045F以前の12編成)は、非貫通の2枚窓の京急顔で、行先・種別表示が板式となっていました。
1961(昭和36)年に導入された1049Fからは、地下鉄乗り入れ規格である貫通型となり、非貫通の車両は、1969(昭和44)年から1973(昭和48)年に掛けて、旧800形からの編入車(1095Fと1097F)を含めて貫通型に改造されていました。
旧800形が、旧1000形に編入されて1095Fと1097Fになったのは、1965(昭和40)年10月のことであったし。
1968(昭和43)年6月21日に、京急本線の泉岳寺までの延長と共に、都営地下鉄1号線(現、浅草線)への乗り入れが開始され、それに伴って6連6編成36両導入されていたけど、当時は現在のような8両編成ではなく、6両編成となっていました。
旧1000形は、1958(昭和33)年から1978(昭和53)年までの間の20年間に、356両が改良を重ねながら製造されていたので、東武鉄道の8000系が、1963(昭和38)年から1983(昭和58)年までの20年間に712両製造されていたことと並ぶ長期製造車でもありました。
東武8000系は、同時期に製造されていた国鉄103系の製造記録と並んでいたので、私鉄の103系と呼ばれていたし。
旧1000形の廃車は、1988(昭和63)年から行われていたけど、その一部が事業用車に改造されたり、京成電鉄に1000形としてリースされたりしました。
イベントで展示されていたデチ15・16号車は、1097号車と1098号車の足回り品が使われているけど、現在は改良されたことにより、その面影がなくなってきています。
京成にリースされた1000形の2編成のうち1編成は、千葉急行電鉄(京成千原線の前身)にもリースされていたし。
他の会社に譲渡された1000形は、北総開発鉄道(現、北総鉄道)の7150形のほか、高松琴平電気鉄道(ことでん、香川県)の1080形(琴平線(高松築港~琴電琴平間)用)や1300形(長尾線(瓦町~長尾間)用)が挙げられているけど、1080形は、1000形の初期型から、1300形は、1000形の後期型から改造されたものであり、そのうちの1080形は、製造されてから55年以上経っても未だ現役であります。
ことでんで旧600形から改造された1070形のほうも、60年近い状態であるし。
ことでんには、元京急700形から改造された1200形もあり、11編成が譲り受けられ、琴平線と長尾線で活躍しています。
志度線(瓦町~琴電志度間)では、全て元名古屋市営地下鉄の車両が使われているし。
琴平線の路線
高松築港~片原町~瓦町~栗林公園~三条~太田~仏生山~空港通り~一宮~円座~岡本~挿頭丘(かざしがおか)~畑田~陶(すえ)~綾川~滝宮~羽床~栗熊~岡田~羽間~榎井(えない)~琴電琴平
長尾線の路線
瓦町~花園~林道~木太東口~元山~川島口~水田~西前田~高田~池戸~農学部前~平木~学園通り~白山(しらやま)~井戸~公文明(くもんみょう)~長尾
志度線の路線
瓦町~今橋~松島二丁目~沖松島~春日川~潟元~琴電屋島~古高松~八栗~六万寺~大町~八栗新道~塩屋~房前~原~琴電志度
高松築港駅からは、JR四国の高松駅(さぬき高松うどん駅、予讃線、高徳線)へは徒歩5分
瓦町駅は、3線に跨がるジャンクション駅であり、同じ四国の愛媛県を走る伊予鉄道線の松山市駅に似ているところがあります。
琴電琴平駅からは、JR土讃線の琴平駅、琴電志度駅からは、JR高徳線の志度駅まで行くことが出来ます。
車両基地、工場は、仏生山にあり、孤立路線の志度線では、今橋工場で検査が行われています。
元京王5000系の1100形は、琴平線で活躍しているし。
逗子で静態保存されている旧601号車は、1956(昭和31)年に先代700形として製造されてから今年で60年(還暦)を迎えます。
1351Fは、晩年4両編成だった編成であり、2010(平成22)年6月27日には、1345Fとの組み合わせにより、金沢文庫→三浦海岸→京急久里浜間でさよなら運転が行われていました。
1351Fは、翌年の2011(平成23)年3月まで事業用車として残され、廃車となった後に、1351号車と1356号車が保存前提で置かれています。